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2022年2月16日第10回ゆる~く枕と睡眠姿勢を語るサロン「世界初!枕の大規模調査結果が論文化」

世界初! 2021年 枕の大規模調査結果が論文化されました。

枕研究者にとってはヨダレが出るような…待ってました!と言いたくなる有難い論文です!

今回はこの論文を山田がご紹介しました。

 

論文タイトル


「成人の首の痛み、覚醒症状、頚部障害、睡眠の質、脊椎アライメントに対する枕のデザイン(形、高さ。硬さ、素材など)の効果」

・1806~2020年までのDATA BASEから枕や睡眠に関する論文1,236論文が集められ
メタアナリシス(複数の原著論文を集め、バイアスを評価し、定量的に統合する研究)が行われました。

 

要旨


・背景
頚部痛は生活の質、職場の生産性、睡眠の質など悪影響を及ぼす非常に重大な問題である。
首の痛みと枕について様々なことを調べました。

・目的
頚部痛、覚醒時症状、頚部障害、睡眠の質、脊椎アライメントに影響する様々なタイプの枕の効果を評価する臨床試験を特定すること

・方法:
Key Words(枕、睡眠、頚部痛、姿勢、人間工学、アライメント等)で検索した1,236論文を、PRISMA Guidelines※に準拠し精査する

※より質の高いシステマティックレビューやメタアナリシスを報告するために、それらを行ううえで
手法や結果の書き方を規定したガイドライン。PRISMAチェックリストとPRISMAフロー図で構成。

・結果
質の高い研究はたった9つしかなかった。

・結論
ースプリングとゴム製(ウレタン、ラテックス等)の枕が頚部痛と覚醒時痛を軽減。慢性頚部痛患者の枕の満足度を高めた
ー素材に関係なく、側臥位の頸椎アライメントに変化はない
ー枕の形状と高さが頚椎アライメントに大きく影響する可能性がある

 

ディスカッション


・様々な素材の中で、ゴム製とスプリングばね製枕は、睡眠の質を除いて慢性的な頚部痛、覚醒時症状、頚部障害、首の障害、満足度にプラス効果を示した
睡眠の質だけは除かれている。いかに枕の研究が行われていようと睡眠の質に関してはいまだ分からない状態である。

・凹凸枕(前回発表したルース・ジャクソン先生の枕)が、頚部痛と障害、睡眠の質において、通常の枕より優れている科学的な根拠はなかった

・頚椎への不必要なストレスを防ぎ、睡眠中に適切なアライメントを回復するには、個々の体の構造に合う適切な枕が必要
こちらは山田の考えと同じである。

・頚椎アライメントは、枕の素材ではなく、枕の形状と高さによって大幅に変わる可能性がある。ただし、仰臥位での最適な首の角度は知られていない。
2018年、高野が頸椎角度を15度にすることを推奨しているが、裏付けとなる根拠がない。
これは山田がNHKがってん出演時に首の角度15度を発表したのを引用している

 

本論文の限界・今後の展望


・このシステマティックレビューは、英語で出版された実証研究のみを含むため、他の言語の研究は除外された
山田も含めた日本語の論文は除外されている。

・頚部痛患者の睡眠の質については不詳
大半が健康な人、若い人、首に障害がない人を対象としている。本当に首に痛みがある人の論文はなかなか出ていない。

・側臥位について、首の安定性は十分でも、異なる形状と高さの枕が頚椎のアライメントに与える影響はまだ不明

・仰臥位の最適な首の角度を提供する枕のデザインはまだ不明
私たちは日本では仰臥位では首の角度は15度とつきとめたと思っていますが、世界ではまだ知られていない。

・今後、眠りの質と頸椎安定のために枕のデザインについて、さらに質の高いRCT研究が必要

 

山田の感想としては

SRやMAのすごさに感動しました。ばらばらと検索した論文を読んでいても見えなかった結論が明確に示されている。自分の感情バイアスがはいりがちだが、統計学的処理によって事実を知れる。

世の中のへんてこりんな枕がどんなに数では主流になっても、科学的には問題点があることが示された。

しかし、自分の理論や主張が世界標準の英語論文になっていないことから世界の認識から遅れていることに改めて反省しました。今現在がんばって執筆中です。

 

 

また今回話題となった内容といたしましては

・患者様に玄関マット枕を測ったが家で使ってみるとよくなかった。敷物がご自宅だと違うのでその対処方法は?

戸田:玄関マット枕のコンセプト・作り方を説明をして家で作ってもらってその後の調整をしている。

山田:昔は布団を持って来てもらって調整していたがそれはなかなか難しい。
計測台の布団を基準にその硬さを覚えてもらって自宅が硬い場合、柔らかい場合の調整の仕方を教える。
診察台で計測すると診察台だと硬いので枕の高さは高くなります。自宅は布団マットレスの分の沈み込みがあるので少しずつタオル1~2枚高さを下げて調節していく。

 

・寝返りの頻度、熟睡していると寝返りは減るのか?睡眠の質と寝返りの関係は?

山田:睡眠医の方が考えるのは、「寝返りは覚醒するので睡眠が浅くなる」という考え。
山田の考えではスムーズな寝返りが打てると睡眠の質は良くなると考えている。
ただ研究では睡眠深度ノンレム睡眠の1~4段階の1が減って、2が増えたという結果が出たが3,4についてはデータは出ていなく詳しい研究もできていないのではっきりとした結論は出ていない。
戸田:患者さんの中で枕を変えたらぐっすり寝れて夢も見なくなったという方はいる。
深く眠っていたら寝返りしても起きないのであろう。何らかの原因で寝返りをするが、それがスムーズにできないことで少し眠りが浅くなってまた深くなるのか、どっこいしょというレベルの悪い寝返りの場合は覚醒してしまうのか。
睡眠深度と寝返りについての研究が現状できていない。

 

その他、寝返りは生理的に妨げないほうがよいのではないか?

代謝的にも寝返りは必要であろう…など睡眠中の寝返りについて貴重なご質問・ご意見をいただき、

ひいては宇宙飛行士の寝返りにまで話が広がり、大変良いディスカッションが行えたかと思います。

次回もどうぞ、ゆる~くご参加くださいませ。

 

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